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和室が主役になる ─ からかみ柄と光が変える、部屋の印象

Tuissは、英国発のオーダーメイドブラインド・カーテンのブランドとして、このたび京からかみを製造・販売する山崎商店とのコラボレーションにより、からかみ文様を用いたロールスクリーン・ローマンシェード・カーテンを発売しました。

日本の伝統的な柄であるからかみの魅力を紹介するインタビューで、今回は、代表の山﨑公資さんに「からかみと光」「和室と現代の暮らし」というテーマでお話を伺いました。

窓から入る光が、空間を変える

からかみはもともと、「光とともにある」素材として作られてきました。

「電気のない時代は、昼間の自然光と、晩のロウソクの揺らいだ灯りのなかで柄を愛でていたんです。光沢のある雲母の絵具を使っているので、見る角度によって柄が立ったり沈んだりする。その陰翳の世界が、からかみ本来の楽しみ方でした」

雲母という鉱物顔料が生む光沢は、光の方向や強さによって表情を変えます。朝の斜光の中では柄がくっきりと浮き上がり、夕方の柔らかな光の中では全体がしっとりと落ち着く。同じ部屋が、一日のなかで幾度も異なる顔を見せてくれる。それがからかみのある空間の豊かさです。

柄が持つ意味を、暮らしの中に

からかみに描かれた吉祥文様は、単なる装飾ではなく、そこに住む人々への祈りを形にしたものでした。松は長寿と不屈、桐は高貴さと慶事、大波は困難を乗り越え前進する力の象徴。古くから人々はそうした意味を持つ柄を、居室の大切な場所に置いてきました。

「縁起の良い柄なので、これはどういう意味ですかと聞かれたら説明する。そうすると、値段が少し高くても理解を示してくださる方が多いんです」

千年にわたって磨かれてきたこれらの文様を、現代の暮らしの中に取り入れることには、意外な発見があります。インテリアとして「なんとなく和風」なものを選ぶのではなく、柄の由来や意味を知った上で選ぶ。そのひとつの選択が、空間との関係を変えてくれます。

「和すぎない」をどう作るか

現代の住まいに和の意匠を取り入れるとき、多くの方が悩むのが「和すぎてしまわないか」という点です。フローリングにコンクリートの壁、モダンな家具との組み合わせに、いかにも日本的な柄を持ち込むことへのためらいがあるかもしれません。しかし山﨑さんはこう話してくれます。

「からかみの柄を遡っていくと、そもそも中国の唐の時代に、ヨーロッパやペルシャあたりが発祥の文様が変化しながら日本にたどり着いたものが多いんです。どこからどこまでが日本で、どこからどこまでが海外かというのが混ざり合っている世界で。洋風に合う柄はたくさんあると思います」

シルクロードを渡った植物紋や唐草文はヨーロッパのアラベスク模様と遠い親戚でもあり、実際からかみ文様と洋装テキスタイルを並べると驚くほど共通点があります。こうした文様は、和洋を問わずどちらの空間にも自然になじむ普遍的な美を持っているのです。

ブラインドという素材が生む、新しい光

からかみはもともと襖や障子という「光を操る建具」の上に存在してきました。ロールスクリーンやローマンシェードもまた、光の入り方を調整する建具です。この共通点に着目したとき、からかみ文様とウィンドウトリートメントは意外なほど自然な組み合わせであることが見えてきます。

採光タイプの裏地であれば光がやわらかく拡散し、障子越しの自然光に近い柔らかな明るさが室内に広がります。ロールスクリーンを下ろしたとき、文様がシルエットとなって窓全体に広がる様子は行灯の灯りを思わせ、日中とはまったく異なる表情を見せます。遮光タイプの裏地を選べば、光を完全に遮りながらもからかみ文様の美しさを窓辺に纏わせることができます。

昼と夜、上げたときと下ろしたとき、それぞれに異なる表情を見せてくれるのは、からかみと光が本来持っていた関係性の延長線上にある楽しみ方です。

和の空間を、現代の暮らしへ

かつては表具師が施主の家に出向き、見本帳を広げながら「この部屋にはどの柄を」と相談しながら唐紙を選んでいました。しかし表具師自体が減った今、そうした丁寧な誂えの文化は少しずつ失われています。

逆に言えば、こだわりを持つ施主が自らからかみの襖を選び、モダンな和室に取り入れることは、今の時代だからこそ際立つ個性あるアプローチになりえます。無垢材の床や漆喰の壁と合わせた現代的な和室に、意味を持つ吉祥文様の襖が一枚加わるだけで、その空間は一気に奥行きを持ちます。

一方、日本を訪れる海外のお客様にとって、からかみ文様との出会いはまた別の意味を持ちます。

「日本の方よりも、海外の方の方が伝統工芸へのリスペクトが高いことが多いんです。古い手仕事に対して、すごく真剣に向き合ってくれはる」

山崎商店を訪れた外国人のお客様が、気に入ったからかみを本国へ持ち帰り、壁紙として自宅に貼るケースもあるといいます。民泊や旅館の窓辺にからかみ文様があれば、旅の記憶とともに日本の美意識がそっと届いていくのではないでしょうか。

乾燥中のからかみ

近年、展覧会に足を運んで美術に触れる機会はあっても、家の中に美しいものを日常として置く習慣は薄れがちではないでしょうか。床の間がなくなり、和の飾りを楽しむ場所も減ってきました。しかし千年をかけて磨かれてきた吉祥文様は、特別な場所でなくても、窓辺というごく身近なところから暮らしに迎え入れることができます。

まず一枚、お気に入りの柄を窓に取り入れてみることが、日本の美しいものを日常の中で楽しむ最初の一歩になるかもしれません。