前回は、TuissのライセンスコレクションパートナーであるV&A、リバティ、クラリッサ・ハルスを訪ねたレポートをお届けしました。
今回はその続きとして、ロンドンで家具やインテリアが好きな人なら一度は歩いてみたい通り、トッテナム・コート・ロードを訪れた際のことをご紹介します。
ここは「London’s Furniture Street(ロンドンの家具通り)」とも呼ばれるエリア。老舗から現代的なブランドまで、家具やインテリアにまつわる店が集まっています。目的の店を決めて訪れるのももちろん楽しいのですが、少し歩くだけでまったく異なる国や時代、スタイルの家具に出会えるのが、この通りの魅力です。
目次
ToggleHeal’s ― 200年以上、この通りに立ち続ける老舗

まず訪れたのは、トッテナム・コート・ロードの象徴ともいえるHeal’s(ヒールズ)です。
Heal’sは1810年に、羽毛入りマットレスを扱う商いとして始まりました。1818年からはトッテナム・コート・ロードに店を構え、現在まで200年以上にわたり、この通りとともに歩んできました。

店内でひときわ目を引くのが、螺旋状に上へ伸びる「Cecil Brewer Staircase」です。1916年に完成したこの階段は、空間そのものが店の歴史を伝えてくれるような存在。家具や照明を見ながら階段を上り下りしていると、ショールームというより、長い時間を重ねてきた建築を訪ねているような気分になります。
Heal’sは、アーツ・アンド・クラフツの考え方を大切にしながら、良いデザインをより多くの人に届けてきたブランドでもあります。第二次世界大戦中には、建物内の工房でパラシュートが製造されていたこともあったそうです。家具店としての役割を超え、街や暮らしの変化を見つめ続けてきた場所なのだと感じました。

数百メートルに集まる、世界のインテリア
Heal’sを起点に通りを歩くと、世界各地から生まれたブランドが自然に視界へ入ってきます。たとえば、同じ「ソファ」や「椅子」でも、暮らし方やデザインへの考え方によって、こんなにも表情が違うのかと驚かされます。
イギリスのFUTON Companyは、“Small Space Living”を掲げるブランドです。名前から布団を想像するかもしれませんが、実際にはソファベッドや収納、コンパクトな家具など、限られた空間を心地よく使うための工夫が揃っています。ロンドンの住まい事情を思うと、その発想にはとても納得感がありました。

イタリアのCalligaris(カリガリス)は、1923年に北イタリア・マンツァーノで一脚の椅子づくりから始まったブランドです。店内では、椅子やテーブルを中心に、洗練されながらも生活になじみやすいイタリアンデザインが印象に残りました。

同じくイタリア発のNATUZZI(ナツッジ)は、レザーソファで知られるブランド。革の質感やゆったりとした座り心地に、ソファを「長く使うもの」として考える姿勢が感じられます。日本にも直営ギャラリーがあるため、見覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。

一方、イギリスのAndrew Martinは、より装飾的で個性の強い世界観。柄のあるキャビネットや小物には、ヨーロッパだけでなく、アジアや中東など世界各地の文化を思わせるエッセンスがありました。部屋全体をそのブランドらしくつくり込む楽しさを感じる空間です。


アメリカ発のwest elmでは、ミッドセンチュリーの空気感を取り入れた、モダンで日常使いしやすいアイテムが並びます。気負いすぎず、少しだけ部屋の雰囲気を変えたいときにも取り入れやすそうな、親しみのあるデザインが魅力でした。

そして、オーストラリアのKINGは、1977年にシドニーで生まれたソファブランドです。創業者のデイヴィッド・キング氏と母グウェン氏が、フォーム素材の家具を手作りしたことから始まったそうです。快適さと耐久性を追求したモジュール式のソファには、広い住空間でゆったり過ごすオーストラリアらしい暮らしのイメージも重なります。

雑貨やギフトを探すなら、イギリスのOLIVER BONASも楽しい一軒です。ファッション、ジュエリー、インテリア雑貨まで幅広く扱い、カラフルで遊び心のあるアイテムが並びます。大きな家具だけでなく、花器やクッション、小物から部屋の印象を変える。そんなインテリアの楽しみ方を思い出させてくれる店でした。


John Lewisで感じた、暮らしを整えることの身近さ

少し移動して訪れたのが、イギリスを代表する百貨店、John Lewisです。オックスフォード・ストリート沿いの旗艦店は、想像以上に家具やインテリアの売場が充実していました。
ファッションや化粧品と同じくらい、家具、寝具、キッチン用品、照明、ファブリックといった暮らしまわりのアイテムにしっかりと売場が割かれています。「家をどう整えるか」が、特別な趣味というより日常の自然な関心事として根づいているように感じました。
ファブリック売場では、Harlequin(ハーレクイン)やLaura Ashley(ローラ・アシュレイ)の生地も見かけました。どちらもTuissのライセンスコレクションのパートナーです。イギリスで長く愛されているブランドのデザインを、日本のお客様にもブラインドやカーテンという形でお届けできていることを、あらためて嬉しく思いました。

おわりに:インテリアは、選ぶ時間も楽しい
イギリス、イタリア、アメリカ、オーストラリア。数百メートルの通りを歩くだけで、これほど多様な国のブランドと、それぞれの暮らし方に出会えることに驚きました。
老舗の家具店も、モダンなソファブランドも、気軽に立ち寄れる雑貨店も、同じ通りに当たり前のように並んでいます。正解が一つではないからこそ、家具やインテリアを選ぶ時間は楽しいのかもしれません。
大きな家具を変えなくても、クッションを一つ、照明を一つ、そして窓辺のファブリックを一つ変えるだけで、部屋の印象は少しずつ変わります。
トッテナム・コート・ロードを歩きながら、インテリアは完成させるものというより、その時々の自分らしさや暮らしに合わせて、少しずつ育てていくものなのだと感じました。
訪れたお店の位置
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