Tuissは、英国発のオーダーメイドブラインド・カーテンブランドとして、日本を含む世界各国で窓まわりの商品を展開しています。国が変われば、住まいの形、気候、光の入り方、インテリアの好みも変わります。その違いは、窓辺に選ばれる商品にもはっきりと表れます。
この連載「世界の窓辺レポート」では、Tuissが展開する各国の担当者へのヒアリングをもとに、世界の窓まわり事情を国別に紹介していきます。単に海外の流行を紹介するだけでなく、なぜその商品が選ばれているのか、住宅事情や気候、ライフスタイルの背景まで掘り下げながら、日本の住まいにも取り入れやすいヒントをお届けします。
第5回は、アメリカ。広い国土を持つアメリカでは、暑く日差しの強い地域もあれば、冬の寒さが厳しい地域もあります。さらに、広いリビングやオープンな間取り、大きな窓を持つ住まいも多く、窓まわりには、光を遮るだけでなく、断熱性、遮熱性、UV対策、プライバシー、操作性など、複数の機能が求められます。
アメリカの窓辺を考えるうえで特に注目したいのが、ハニカムシェードです。アメリカでは、ハニカムシェードが人気カテゴリーのひとつとして定着しており、その背景には、大きな窓、多様な気候、そしてエネルギー効率を意識した窓装飾の歴史があります。
目次
Toggle人気の中心は、ハニカムシェード、ロールスクリーン、ローマンシェード
アメリカ担当者によると、アメリカで人気の高いカテゴリーは、ハニカムシェード、ロールスクリーン、ローマンシェードです。色は、白、ソフトグレー、ベージュ、ナチュラルリネン系などのニュートラルカラーが人気で、テクスチャー感のある生地や、光をやわらかく取り入れる採光タイプも好まれています。
なかでもハニカムシェードは、アメリカ市場で特に存在感のある商品です。蜂の巣のような空気層を持つ構造により、窓まわりの熱の出入りをやわらげることができ、暑さ・寒さの両方に対応しやすい点が特徴です。
アメリカ担当者は、ハニカムシェードが人気を集める理由として、エネルギー効率、汎用性、幅広い住まいへの合わせやすさを挙げています。断熱性だけでなく、モダンな見た目、採光・遮光の選択肢、コードレスや電動操作への対応など、さまざまな部屋で使いやすいことも評価されています。

ハニカムシェードは、いつから広がったのか
ハニカムシェードは、比較的新しい窓装飾のように見えるかもしれませんが、その背景には1970年代のエネルギー危機があります。
ハニカム構造のシェードは、1970年代後半、窓まわりの寒さやエネルギー効率への課題意識から考案されたとされています。開発者は、冬の日中は日差しで暖かくても、夜になると窓からの冷えを強く感じる住まいでの体験から、窓を断熱するための新しいシェードを考えました。1977年には最初のモデルが作られ、1980年代半ばには米国市場で本格的に展開されるようになりました。
つまり、ハニカムシェードは最初から、単なる装飾ではなく「窓の弱点を補う」ために生まれた商品でした。窓は光や眺望を取り込む一方で、熱や冷気の出入りが起きやすい場所でもあります。そこに空気層を持つシェードを組み合わせることで、住まいの快適性を高めようとしたのが、ハニカムシェードの出発点です。
現在のアメリカでは、ハニカムシェードは省エネ性だけで選ばれているわけではありません。白やベージュ、ソフトグレーのようなニュートラルカラーなら、部屋に自然に馴染み、光をやわらかく取り込むこともできます。遮光タイプを選べば寝室にも使いやすく、コードレスや電動タイプを選べば、毎日の操作もより簡単になります。
歴史的にはエネルギー効率への関心から生まれたハニカムシェードが、現在では光、温度、プライバシー、操作性をまとめて整える商品として受け入れられているのです。
大きな住空間とオープンな間取りが、窓まわりに求める機能を増やす
アメリカの住宅では、大きなリビングやオープンフロアプランに合わせて、採光や眺望を重視した大きな窓が使われることがあります。アメリカ担当者も、多くの住宅に大きな窓やオープンな間取りがあり、光の調整、プライバシー、エネルギー効率が重要になると説明しています。

住宅の広さを見ても、日本とのスケールの違いがわかります。U.S. Census Bureauによると、2025年に販売された米国の新築一戸建て住宅の中央値は2,194平方フィート、約204㎡です。
一方、1人あたりの居住面積で見ると、国際比較ではアメリカが66㎡、日本が40㎡とされており、アメリカの住まいは1人あたりの空間にも余裕がある傾向が見られます。
もちろん、アメリカでも都市部のアパートメントやコンパクトな住宅はありますし、すべての家に大きな窓があるわけではありません。それでも、住空間そのものにゆとりがある住まいでは、窓も大きくなりやすく、窓装飾に求められる役割も増えていきます。
大きな窓は、部屋を明るく開放的に見せてくれます。一方で、日差しが強く入りすぎたり、外からの視線が気になったり、夏は暑く、冬は窓際が冷えやすくなったりすることもあります。だからこそ、アメリカの窓まわりでは、単に「隠す」「飾る」だけでなく、光、熱、視線、操作性をどうコントロールするかが重視されるのです。
気候が違えば、窓まわりに求める機能も変わる
アメリカは国土が広く、地域によって気候が大きく異なります。日差しが強く暑い南西部では、眩しさや熱、UV対策が重要になります。一方で、冬の寒さが厳しい北東部や中西部では、窓まわりの断熱性や冷気対策が求められます。
アメリカの担当者も、暑く日差しの強い地域から寒い地域まで、気候差が大きいことが窓装飾選びに影響していると説明しています。大きな窓やオープンな間取りに加え、地域ごとの気候差があるため、窓装飾には光の調整、プライバシー、エネルギー効率、UV対策など、複数の役割が期待されています。
この点で、ハニカムシェードはアメリカの住まいと相性がよい商品です。暑い地域では、日差しによる室内の熱をやわらげる。寒い地域では、窓まわりの冷えを補う。採光タイプなら部屋を明るく保ちやすく、遮光タイプなら寝室にも使いやすい。地域や部屋に合わせて機能を選びやすいことが、アメリカで支持される理由のひとつです。

カーテンを使わないのではなく、役割が違う
日本では、遮光カーテンとレースカーテンを組み合わせ、光の調整、目隠し、遮光性、断熱性、装飾性まで、窓まわりの多くの役割をカーテンで担うスタイルが一般的です。
一方、ブラインドやシェードが広く使われているアメリカでは、カーテンの役割が日本とは少し異なります。日常的なプライバシーの確保や光の調整、遮光、日差しのコントロールといった機能面は、ハニカムシェードやロールスクリーン、ブラインドなどが担うことが多く、カーテンは空間に色や素材感、柄、やわらかさを加えるインテリアとして重視されます。
アメリカの担当者も、アメリカではカーテン市場は大きい一方、既製のカーテンパネルは日常的な窓まわりの機能を担うものというより、装飾的なアクセントとして使われることが多いと説明しています。
つまり、アメリカの窓辺では、まずシェードやブラインドで暮らしに必要な機能を整え、その上でカーテンやドレープを重ねて、部屋の雰囲気を仕上げるという考え方が見られます。カーテンは窓まわりを完結させる主役というより、空間全体の印象を整えるインテリアの一部として使われているのです。

コードレス、電動、スマート化。操作性も重要なポイントに
アメリカでは、窓装飾の操作性も重視されています。アメリカ担当者によると、近年はコードレス、穴あけ不要、電動タイプの需要が伸びており、安全性、使いやすさ、設置のしやすさが商品選びの重要なポイントになっています。
特に、大きな窓や高い位置にある窓、手が届きにくい窓では、電動タイプやスマート操作の利便性が高くなります。毎日開け閉めする窓であれば、操作が簡単であることは、暮らしやすさに直結します。
アメリカの担当者も、電動ブラインドやスマートブラインドは成長しているカテゴリーであり、高級住宅や大きな窓、手の届きにくい窓で特に受け入れられていると説明しています。
機能性というと、断熱性や遮熱性を思い浮かべがちですが、操作のしやすさもまた、窓まわりの重要な機能です。大きな窓を快適に使うためには、光をどう調整するかだけでなく、毎日無理なく操作できることも大切なのです。
現地担当者コメント
アメリカ市場の特徴は、窓装飾が一度に複数のニーズを解決することを期待されている点です。消費者は、オーダーサイズで、取り付けやすく、省エネ性があり、スマートホームにも対応し、近年のやわらかなインテリアトレンドにも合う商品を求めています。さらに、大きな窓や、地域ごとに大きく異なる気候にも対応する必要があります。
このコメントからもわかるように、アメリカの窓まわりは、見た目だけで選ばれているわけではありません。大きな窓、多様な気候、プライバシー、エネルギー効率、操作性。複数の課題を同時に解決することが求められているのです。
日本の住まいに取り入れるなら
アメリカの窓辺から学べることは、窓装飾を「飾るもの」だけでなく、暮らしの課題を解決する機能として考えることです。
日本でも、夏の暑さ、冬の冷え、西日、外からの視線、寝室の遮光など、窓まわりの悩みは少なくありません。特に大きな掃き出し窓や、西日が強く入る窓では、1枚のカーテンだけですべてを解決しようとするのではなく、光、熱、プライバシー、操作性を分けて考えることが大切です。
たとえば、暑さや寒さが気になる窓には、ハニカムシェードが選択肢になります。採光タイプを選べば、部屋を暗くしすぎずに光をやわらかく取り入れながら、窓まわりの快適性を補うことができます。遮光タイプを選べば、寝室や西日が強い部屋でも使いやすくなります。


また、カーテンとシェードを組み合わせる考え方も参考になります。シェードで日差しや視線を調整し、カーテンで空間にやわらかさや装飾性を加える。そう考えると、窓辺の選択肢はより広がります。
毎日開け閉めする窓や、手が届きにくい窓では、電動タイプも便利です。アメリカのように、窓まわりを暮らしの機能として捉えることで、日本の住まいでも、より快適で使いやすい窓辺をつくることができます。
Take Away:アメリカの窓辺から学べること
アメリカの窓辺から学べるのは、窓装飾に複数の役割を持たせる考え方です。大きな窓や多様な気候を背景に、ハニカムシェードのような商品が、断熱性、遮熱性、採光、遮光、プライバシー、操作性をまとめて整える選択肢として支持されています。
日本の住まいでも、暑さ、寒さ、視線、明るさ、操作のしやすさは身近な課題です。窓装飾を単なるインテリアとしてではなく、毎日の暮らしを快適にするための機能として考えることで、住まいに合った窓辺づくりの選択肢が広がります。
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