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世界の窓辺レポート スペイン編|強い日差しをやわらげる、軽やかなニュートラルの窓辺

Tuissは、英国発のオーダーメイドブラインド・カーテンブランドとして、日本を含む世界各国で窓まわりの商品を展開しています。国が変われば、住まいの形、気候、光の入り方、インテリアの好みも変わります。その違いは、窓辺に選ばれる商品にもはっきりと表れます。

この連載「世界の窓辺レポート」では、Tuissが展開する各国の担当者へのヒアリングをもとに、世界の窓まわり事情を国別に紹介していきます。単に海外の流行を紹介するだけでなく、なぜその商品が選ばれているのか、住宅事情や気候、ライフスタイルの背景まで掘り下げながら、日本の住まいにも取り入れやすいヒントをお届けします。


第4回は、南ヨーロッパの国・スペイン。スペインと聞くと、温暖な気候、強い日差し、白い壁や茶色い瓦屋根の街並みを思い浮かべる方も多いかもしれません。実際には地域差が大きく、北部、内陸部、地中海沿岸、南部では気候も住まいの表情も異なりますが、いずれにしてもスペインの窓辺を考えるうえで「強い日差しとどう付き合うか」は大きなテーマです。

日本の住まいでは、深い軒やすだれ、障子、風通しなどによって、日差しをやわらげながら夏をしのぐ考え方が発達してきました。一方、スペインの住まいでは、強い日差しを室内に入れる前に、建物の外側で受け止める工夫が多く見られます。

強い日差しを、まず外側で受け止める住まい

スペインの伝統的な住まいには、白い外壁、厚みのある壁、テラコッタ色の瓦、パティオなど、暑さや日差しと付き合うための建築的な工夫が見られます。地域によって形は異なりますが、外の強い光や熱をそのまま室内に入れず、建物全体で受け止める発想があると言えます。

スペインの窓辺で特徴的なのが、外付けシャッターの存在です。日本では、窓まわりの日差し対策というと、室内側のカーテンやブラインドを思い浮かべることが多いかもしれません。しかしスペインでは、まず外側で日差しを遮り、室内に入る光や熱を抑える考え方が一般的です。

スペイン担当者も、外付けシャッターは多くの家に標準的に備わっており、夏の強い日差しをコントロールする重要な役割を持つと説明しています。そのため、室内側の窓装飾には強い遮光性よりも、光をやわらげること、視線を整えること、インテリアとして軽やかに見せることが求められます。

つまりスペインの窓辺は、外側で日差しを止め、室内側では光の心地よさを整える二重の考え方で成り立っています。

フラットに暮らす人が多い、現代スペインの住まい

スペインというと、アンダルシア地方の白い壁や赤茶色のスペイン瓦の屋根の家を想像しがちですが、現代の一般的な暮らしでは、集合住宅であるフラットも重要な住まいの形です。

Eurostatの住宅データによると、2024年時点でスペインは人口の65%がフラットに住んでおり、EUの中でもフラット居住の割合が高い国のひとつです。一方で、スペインでは持ち家比率も高く、INEの2021年住宅センサスでは、世帯の75.2%が持ち家、15.9%が賃貸とされています。つまり、スペインの住まいは「戸建て中心」というより、日本でいう分譲マンションのように、集合住宅の一室を所有して暮らすスタイルが一般的だと考えられます。

さらに、スペインでは住宅取引の中心が中古住宅です。Banco de Españaは、2023年の住宅取引の約90%が中古住宅であり、その背景の一部に新築供給の不足があると説明しています。

このように、フラットに暮らす人が多く、既存の住まいを活かしながら暮らす文脈があることは、スペインの窓まわりを考えるうえでも重要です。建物の外観や共用部を大きく変えることは難しくても、室内側の窓装飾を変えることで、光や視線、部屋の印象を整えることができます。

室内の窓辺は、白やベージュで軽やかに整える

スペインの担当者によると、スペインで人気のブラインドの色は、白、ベージュ、明るいニュートラルカラー、リネン調の素材感などです。

これは、外付けシャッターがある住まいの考え方ともつながっています。強い日差しや遮光を外側である程度コントロールできるからこそ、室内側では、重く暗い窓装飾よりも、白やベージュ、リネン調の軽やかな素材が選ばれやすくなります。

白や明るいニュートラルは、室内に入る光をやわらかく受け止め、部屋を明るく見せてくれます。ベージュやリネン調の素材感は、強い日差しの印象をやわらげながら、空間に自然な温かみを加えます。

スウェーデン篇では、冬の少ない光を失わないために淡色が選ばれるという話をしました。一方スペイン篇では、強い光をやわらげ、室内を軽やかに整えるために明るいニュートラルが選ばれている、と考えるとわかりやすいかもしれません。

人気はロールスクリーンと、窓貼り・穴あけ不要タイプ

スペインで人気のある窓まわりカテゴリーとして、現地担当者はロールスクリーン、窓貼り・穴あけ不要タイプ、そして夏場の実用アイテムとして網戸を挙げています。

ロールスクリーンは、すっきりとした見た目と扱いやすさから、スペインでも人気のあるカテゴリーです。外付けシャッターで強い日差しを抑えつつ、室内側ではロールスクリーンでプライバシーや光の質を調整する。そうした使い分けがしやすい商品で、特にメッシュの透け感のある生地の商品が人気を集めています。

近年特に人気を集めているのが、窓貼り・穴あけ不要タイプです。スペイン担当者によると、工具を使わず、穴を開けずに取り付けられることは、スペインの消費者にとって大きな魅力になっています。DIYに慣れていない人でも、ストレスなく住まいを整えられることが支持されている理由です。

スペインでは、穴あけ不要商品は「DIYが好きな人のための商品」というより、DIYへのハードルを下げる商品として受け入れられています。賃貸住宅だけでなく、フラットや既存住宅で、壁や窓枠にできるだけ手を加えずに室内を整えたい人にとって、気軽に取り入れやすい選択肢になっているのです。

また、夏場には網戸の需要もあります。スペイン担当者は、春夏にかけて網戸への需要が高まり、特に簡単に取り付けられるタイプは、季節性のある実用アイテムとして注目されていると説明しています。

SNSで広がる、手軽な住まいのアップデート

スペインで窓貼り・穴あけ不要タイプが伸びている背景には、取り付けの簡単さだけでなく、SNSでの見せやすさもあります。

現地担当者によると、窓貼りタイプの商品は、設置前後の変化がわかりやすく、SNSで紹介しやすい商品です。簡単に取り付けられ、部屋の印象が変わる様子が伝わりやすいため、コンテンツとしても相性がよいとされています。

これは、スペインの現代的な住まい方ともつながっています。新しく家を建てたり、大きなリノベーションをしたりしなくても、窓まわりを変えるだけで部屋の印象は大きく変わります。特に集合住宅や既存住宅では、室内側でできる小さな工夫が、暮らしの快適さやインテリアの印象を左右します。

スペインの窓辺では、外側のシャッターで日差しをコントロールし、室内側ではロールスクリーンや窓貼りタイプで軽やかに整える。そこには、強い日差しの国ならではの実用性と、現代の暮らしに合った手軽さの両方が見えます。

現地担当者コメント

スペインでは、デザインとシンプルさを兼ね備えた商品への明確な変化が見られます。お客様は、部屋を美しく見せるだけでなく、取り付けが簡単で、暮らしに自然に馴染む商品を求めています。特に穴あけ不要タイプは、工具もストレスもなく、住まいをすぐに整えられる点で支持されています。

スペインの窓辺では、強い日差しをどう遮るかだけでなく、室内に入る光をどうやわらげるか、視線をどう整えるか、そしてどれだけ簡単に取り入れられるかが重視されています。窓装飾は、暑さ対策のためだけのものではなく、住まいを軽やかに、自分らしく整えるためのものとして選ばれているのです。

日本の住まいに取り入れるなら

スペインの窓辺から学べることは、強い日差しをひとつの窓装飾だけで受け止めようとしないことです。スペインでは、外付けシャッターなどで強い日差しを外側からコントロールし、室内側ではロールスクリーンや窓貼りタイプで、光の質やプライバシーを軽やかに整えています。窓まわりの役割を分けて考えるという発想です。

日本の家庭では、窓側には遮熱性のある窓装飾を取り付けて日差しをやわらげながら、室内側には白やベージュ、リネン調のロールスクリーンを選ぶことで、部屋を暗くしすぎず、軽やかな印象に整えることができます。日差しを遮る、視線を整える、部屋を明るく見せる、といった役割を分けて考えることで、窓辺はより快適になります。

そのうえで、室内側の窓装飾として取り入れやすいのが、白やベージュ、リネン調のロールスクリーンです。強い日差しが気になる窓でも、部屋を暗くしすぎず、光をやわらかく整えることができます。重たい印象になりにくく、窓まわりを軽やかに見せたい場合にも取り入れやすい選択肢です。

また、スペインでは、窓貼り・穴あけ不要タイプのように、住まいを大きく変えずに窓辺を整えられる商品も注目されています。日本とは窓の形や住まいの条件が異なる点もありますが、後からでも無理なく窓辺を整えられる選択肢を持つという考え方が参考になります。

賃貸住宅や、壁・窓枠に穴を開けたくない住まいでは、つっぱり式やカーテンレール取り付けタイプなど、工事をせずに取り入れられる窓装飾が選択肢になります。窓の形や暮らし方に合わせて、無理なく取り入れられる方法を選ぶことが、窓辺を快適に整える第一歩です。

スペインのように、外側で日差しを受け止め、室内側では軽やかに整える発想は、日本の住まいにも応用できます。強い日差しや西日、賃貸住宅での設置のしやすさといった身近な課題に合わせて、窓辺を柔軟に整えてみてはいかがでしょうか。

Take Away:スペインの窓辺から学べること

スペインの窓辺から学べるのは、強い日差しと上手に付き合うための役割分担です。外付けシャッターや建物のつくりで光と熱を外側からコントロールし、室内側では白やベージュ、リネン調の軽やかな窓装飾で、プライバシーと光の心地よさを整える。

日本の住まいでも、強い日差しや西日、賃貸住宅での設置のしやすさは身近な課題です。スペインのように、住まいを大きく変えなくても後から窓辺を整えられる選択肢を持つことで、夏の窓辺をより快適に、自分らしく整えることができます。